自転車の事故で多額の賠償が!
警視庁のデータによると、自転車が関係する事故は全交通事故の20%くらいで、東京都内は約35%で高止まりしています。
そして自転車の事故であっても、相手を死亡させたり大ケガをさせたりすると、多額の賠償金が請求されます。
たとえば「男性がペットボトルを片手に自転車に乗って下り坂をスピードを落とさずに交差点に突っ込み、横断歩道を横断中の38歳女性と衝突、女性は脳挫傷等によって3日後に死亡する」、という事故が実際にありましたが、この事故の加害者男性には6,779万円もの賠償金の支払いが命じられました。(2003年9月30日 東京地方裁判所判決)
この事例のように、ペットボトルを飲みながら自転車に乗ったり、スピードを落とさず交差点に差し掛かったりする経験は、誰でも一度や二度はあると思います。事故を起こして加害者になってしまう可能性は、誰にでもあるのです。
こうした状況を受けて近年、保険会社は自転車保険の販売を強化しています。
自転車保険はコンビニエンスストアなどで簡単に加入できるものもあり、保険料は個人を補償対象とするもので年4,000円ほど、家族を補償対象とするもので9,000円ほどのようです。
※保険商品によって異なります
あまり知られていない、個人賠償責任補償特約
ところで、火災保険(または自動車保険)には個人賠償責任補償特約というものがあります。個人賠償責任補償特約とは、日常生活で加入者やその家族が他人にケガをさせたり他人の物を壊したりしてしまったときに、その損害に対して保険会社が保険金を支払う特約です。
実は、この火災保険の個人賠償責任補償特約を利用すれば自転車事故による賠償は補償されます。
先述の判決例のケースでも6,779万円が全額補償されますし、それ以外にも「自転車で転び駐車中の他人の自動車を傷つけてしまった」「子供が自転車で通学中に他人にぶつかり、ケガをさせてしまった」といった事故で賠償金を支払うことになった場合にも、保険金が支払われます。
この特約はその住居に住む家族全員が補償の対象ですし、保険料も年間1,000円程度で済んでしまいます。
あわてて自転車保険に入る前に!
自転車保険のなかには、保険金額が1,000万円や5,000万円までと限度額の低い商品があります。これでは先術の判決例のように賠償金が多額となるときは、対応しきれません。
契約者が死亡やケガをした場合の補償もセットになっていることも多いですが、既に生命保険などに加入している場合には、重複してしまう部分も発生します。
自転車保険は保険料の面でも個人賠償責任補償特約と比較すると数倍するため、わざわざ単独で加入するメリットがあるのか今一度考えてみてもよいでしょう。
また本人も気づかないうちに、自動車保険や火災保険に付いている個人賠償責任補償特約に加入してしまっているケースもあります。あわてて自転車保険に入る前に、ご自身の保険証券をチェックしてみてください。
二重で加入しても、保険金はどちらか片方の保険からしか支払われません。抑えられる保険料は抑えておくのが得策です。